三田村
“意義のある人生"の実現を目指す心理療法:ACT
認知行動的アプローチがどのようなものかについては以前に書きましたが,認知行動的アプローチはいわゆる科学的であることを大きな柱においてきました。
科学的であろうとすることは,科学では扱いにくいテーマはあえて避けることが起こります。
科学では扱いにくいテーマとは一体なんでしょうか?
それは,"生きることの意味"とか,「私」とは誰なのかとか,スピリチュアリティといったテーマです。
こうしたテーマは,それまで認知行動的アプローチ以外の心理療法ではむしろ積極的に扱われる傾向にありました。
しかし,認知行動的アプローチの中でも徐々にそういった難しいテーマを,むしろ積極的に扱っていこうという流れが生まれました。
そうした新たな挑戦を始めた認知行動療法は,「文脈的認知行動療法」や「第三世代の行動療法」と呼ばれます。
この文脈的認知行動療法の代表が「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」です。名前が長いので「ACT」と略して書いて「アクト」と読みます。
ACTを用いたカウンセリングでは,相談に訪れた方(一般的に,クライエントと呼びます)に
「どんな人生を歩まれたいでしょうか?」
「どんなご自身でありたいと思われますか?」
とった趣旨のことをお聴きします。
これらの質問に答えることは簡単なことではないかもしれません。
なぜなら,カウンセリングに訪れることを決心された方々は往往にして,ご自身が生きたい人生を思い描くどころか,あまりにも厄介な問題に悩まされ続けているからです。
それでも来所された方にこうした希望ある未来を思い描けるようになってもらうこと,そして,その実現に向けて一歩一歩を前進できるようになってもらうことを当オフィスでは使命だと考えています。
参考文献
Hayes, S. C., Strosahl, K. D., & Wilson, K. G. (2012). Acceptance and commitment therapy: The process and practice of mindful change. New York: Guilford Press. 武藤崇・三田村仰・大月友(監訳)2014 アクセプタンス&コミットメント・セラピー:マインドフルな変容のためのプロセスと実践 第二版. 星和書店
ラス・ハリス (著) 岩下慶一(訳)2015 幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門. 筑摩書房
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