• 三田村

連載2 カップルセラピーってなに?

更新日:6月4日


■連載「(2) カップルセラピーってなに?」 三田村仰 p.129-135. 『こころの科学』2021年9月号 通巻 219号


第2回の見出し

----------------------------------------

1. カップルセラピー受けてみる? 

2.カップルセラピーのおおよその歴史

3. カップルセラピー,その効果はいかに?

4. カップルセラピーの基本的な面接の構造 (性格的DVと状況的DVの違いなど)

5. カップルセラピーでは何をするのか?

----------------------------------------


コメント:

アメリカでの調査によると離婚に向かうカップルのうちカップルセラピーを受けに行くのはその1/4組だと言われています。

「1/4組」と聞くと,日本人の感覚からするとかなり多そうに聞こえます。


1/3組が離婚すると言われている日本の夫婦ですが,離婚に向かうカップルの一体どれくらいの人々がカップルセラピーを受けているのでしょうか?

おそらく殆どの離婚に至った夫婦は,カップルセラピーといった外からの助けを受けることなく最後の結論に向かっていったのではないかと想像します。


同じ調査のなかで研究者らは,カップルセラピーを受けた組数,つまり「1/4組」という割合は少なすぎると主張しています。

いくつかのカップルセラピーの方法論についてはすでにその効果が確認されており,離婚した夫婦であっても,もしかしたら適切なカップルセラピーを受けることができていたら結果は変わっていたのかもしれません。


カップルセラピーの実践と研究が進んでいるアメリカですら,カップルセラピーは他の心理療法と比べ研究の進みが遅く,困難を抱えた夫婦からしてもこれを受けるにいたるには敷居はまだまだ高いようです。


私たちの国でのカップルセラピーに関する研究,そして効果的なカップルセラピーの普及は,まだまだ「始まった」とすらいえない状況かもしれません。

本連載では,すでに海外で明らかにされてきているカップル関係についての研究知見を幅広く集め,日本人のカップルを支援するうえでの重要なヒントとして整理していきます。



こころの科学(2021年9月号 通巻 219号)

https://www.nippyo.co.jp/shop/magazine/8598.html



原稿内での引用文献ーーーー

  1. Aaron, S. M., & Beaulaurier, R. L. (2017). The Need for New Emphasis on Batterers Intervention Programs. Trauma Violence Abuse, 18(4), 425-432.

  2. Babcock, J. C., Green, C. E., & Robie, C. (2004). Does batterers' treatment work? A meta-analytic review of domestic violence treatment. Clin Psychol Rev, 23(8), 1023-1053.

  3. Barbato, A., & D'Avanzo, B. (2020). The Findings of a Cochrane Meta-Analysis of Couple Therapy in Adult Depression: Implications for Research and Clinical Practice. Family Process, 59(2), 361-375.

  4. Christensen, A., Doss, B. D., & Jacobson, N. S. (2020). Integrative behavioral couple therapy: A therapist's guide to creating acceptance and change, Second Edition. NY: W.W. Norton & Company.

  5. Doss, B. D., Simpson, L. E., & Christensen, A. (2004). Why do couples seek marital therapy? Professional Psychology: Research and Practice, 35(6), 608-614.

  6. Feinberg, M. E., Jones, D. E., Hostetler, M. L., Roettger, M. E., Paul, I. M., & Ehrenthal, D. B. (2016). Couple-Focused Prevention at the Transition to Parenthood, a Randomized Trial: Effects on Coparenting, Parenting, Family Violence, and Parent and Child Adjustment. Prev Sci, 17(6), 751-764.

  7. Gottman, J. & Gottman, J., S. (2000) Gottman Method Couples Therapy Training Manual Level 1, 2. Gottman Institute.

  8. Gurman, A. S. (2015). The theory and practice of couple therapy Clinical handbook of couple therapy, 5th ed. (pp. 1-18). New York, NY, US: The Guilford Press.

  9. Gurman, A. S., & Fraenkel, P. (2002). The history of couple therapy: a millennial review. Fam Process, 41(2), 199-260.

  10. Jacobson, N. S., & Gottman, J. M. (1949). When men batter women(戸田律子(訳) (1999). 夫が妻に暴力をふるうとき : ドメスティック・バイオレンスの真実. 講談社).

  11. Johnson, S. M. (2017). The Practice of Emotionally Focused Couple Therapy: Creating Connection (2nd ed.): Routledge.

  12. Johnson, C. A., Stanley, S. M., Glenn, N. D., Amato, P. R., Nock, S. L., Markman, H. J., et al. (2001). Marriage in Oklahoma: 2001 baseline statewide survey on marriage and divorce. Stillwater: Oklahoma State University Bureau for Social Research. [Doss, Simpson, & Christensen, 2004より]

  13. Roddy, M. K., Walsh, L. M., Rothman, K., Hatch, S. G., & Doss, B. D. (2020). Meta-analysis of couple therapy: Effects across outcomes, designs, timeframes, and other moderators. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 88(7), 583-596.

  14. 斎藤清二 (2012). 医療におけるナラティブとエビデンス ー対立から調和へー. 遠見書房.



閲覧数:24回0件のコメント

最新記事

すべて表示

今回は,内田明香・坪井健人(著)『産後クライシス』(ポプラ新書)について紹介したいと思います。著者の内田明香氏はNHK報道局記者,坪井健人NHK制作局ディレクターをそれぞれされている方で,この本は,2012年9月にNHKの朝の情報番組で放送した内容が元になった書籍とのことです。 産後クライシスとは「出産から子供が2歳ぐらいまでの間に,夫婦の愛情が急速に冷えこむ現象」(内田・坪井, 2013, p.

妊娠,出産,そして育児は女性にとって,とてつもなく大きな人生のイベントと言えるでしょう。 子を授かり,育てることは一般的に,"望ましいこと"や"希望"として表現されることも多いですが,実際にはこのとき女性は精神的にも身体的にも非常に大きな挑戦を強いられることになります。 ちなみに,当然ながら,男性には育児はできても,妊娠,出産の大変さを体験することはできません。一方の女性の方は,妊娠によってこれま